豪州で医者に診てもらう【2】煩わしいメディケア


オーストラリアの国民健康保険は「Medicare(メディケア)」とよばれます。メディケアが患者の医療費をどれだけカバーしてくれるかは、入院かそうでないかで大きく分かれます。

一般開業医(GP)に診察してもらう場合、「国が定めた診察料金」はメディケアを使えば全額負担してもらえます。一銭も払う必要がありません。しかし前述の通り、GPは「追加診察料金」を患者から徴収することが可能なので、患者は自腹を切ることになるのがほぼ常です。

例として、お腹が痛くなって医者に診てもらったときを考えましょう。その際、日本では内科医、オーストラリアではGPに診てもらうことになります。そして、GPは「国が定めた診察料金」に加えて「追加診察料金」を患者に課したとして考えます。

日本の場合、国民健康保険に入っていれば診察代から保険代が差し引かれた上での差額を支払います。例えば診察代が5000円だったとしても、健康保険で3000円カバーされるとすれば、実際に払うのは2000円で済みます。

一方、オーストラリアではメディケアに加入していても、「国が定めた診察料金」と「追加診察料金」の全額は、病院に一度払わなければなりません。そして後日メディケアの事務所にその診察料金の領収書をもっていって、メディケアがカバーしてくれる分、つまりは「国が定めた診察料金」分を受け取ります。

例えれば(上記の例と比較しやすいように日本円で考えます)、「国が定めた診察料金」と「追加診察料金」として5000円全額を一度払い、わざわざ役所に出向いて保険がカバーしてくれる3000円分の還付金を受けとって、結果として医者には2000円払う、となります。

ところで、実際に生活して思いますが、メディケアの事務所に返金のために行くのは手間がかかり非常に面倒くさいです。

メディケアの事務所は日本のコンビニみたいにどこにでもあるようなものではなく、町に一つあるかないかというぐらいですから、人によっては事務所が遠かったりと行くのをついつい忘れてしまうこともあるでしょう。

また、メディケアに自動振込みを依頼することもできますが、その手続きをとった後も病院で支払いをするときには自動振込みをするか否かを病院側に「毎回」伝えなければなりません。

メディケアに行くのが面倒くさいから自動振込みを依頼しているのに、病気にかかって病院に行った際は毎回その都度、自動振込みの選択をしなければならないというのはどうなのだろうか、と首を傾げてしまいます。

こんな状況を打開してくれるのが「バルクビリング」です。